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「凱旋門賞」禁止薬物検出が与えるインパクトとディープな闇

フランスギャロ(日本のJRAにあたる組織)は、凱旋門賞で3着となったディープインパクトの尿検体から禁止薬物「イプラトロピウム」が検出されたと発表、日本競馬界にまさに深い衝撃(ディープインパクト)を与えた。
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 ディープはフランスでの調教中、呼吸器の不調に見舞われ、診断したフランスの獣医師が気管支拡張剤「イプラトロピウム」を処方したという。処方した獣医師は、出走日の5日~1週間前までには投薬をやめるようにも指示したという。
 フランスギャロの専務理事は「投薬はフランス人獣医師によって処方されたが、処方せんには明確に投薬停止期日が記載されている。獣医師が投薬作業を逐一管理するわけではなく、それは厩舎スタッフに任される。彼らが投薬期日の指示を誤ったようだ」と、レース直前まで投薬が続けられたことを示唆している。(イプラトロピウムは欧州競馬では禁止薬物に指定されているが、出走時に体内から排出されていれば問題はないという)

この薬物検出騒動で問題点は3つある。
一つはまず何故こんなお粗末な結果になったのかと言う点だが、それ以上に重要な第2の問題点は、いまだディープインパクトの管理責任者であり一番事情を知りうる立場の池江調教師から、全く説明が無いことだ。

競馬は、ファンが馬券を購入しなければ産業として成立しない。もともと英国で始まった競馬は、金持ちが道楽でそれぞれの所有馬で競争したのが起源という。しかし近代競馬は、ファンの存在なくして経済的に成立しない。サラブレッドの生産者も、馬主(うまぬし)も、調教師も、厩務員も、騎手も、ファンが馬券を購入しなければ、生活が成り立たないのだ。大レースを勝った時だけ、「応援有難う。この馬はファンのものです」と調子の良い事を言い、不祥事が起きたら厩(うまや)の世界では先生と呼ばれている調教師も、大オーナも説明責任を果さず逃げ回っている。

さらに重要な第3の問題点は、ディープが日頃から気管支系の障害をもっていた事実及び、フランスへ遠征したときにも同様の症状を発生したことが陣営から全く発表されていない点である。
これは極めて問題視しなければならない事態である。凱旋門賞の調教過程でのマスコミ発表は常に、「極めて順調、生涯最高の状態。120%の状態では凱旋門賞は勝てない、140%の状態で仕上げた。」と一点の曇りもない状態であるかの如くコメントを発し続けた。

私も陣営のコメントを信じ、ディープの凱旋門圧勝を確信していた。恐らくフランス地元でも順調な調教過程の報道を聞き、ディープに賭けた競馬ファンも少なからずいたのではないかと思われる。

競馬がお金を賭けるギャンブルスポーツと言う性格上、レースの主役である出走馬の状態は常に正確に説明されなければならない。其の点ディープ陣営は、競争能力に少なからぬ影響を与えるディープインパクトがもつ「気管支系」の弱点を隠し続けることにより、世界中のファンとメディアを裏切ってきた。

勿論この事が、凱旋門賞におけるディープの敗因の全てではない事は当然である。勝った3歳馬との斤量差、武豊の騎乗方法(先行し早仕掛け)も敗因として上げられるだろうが、私が最も重視する敗因はオーナー筋の欲張った出走スケジュールにあると判断している。賞金の高い国内のG1(春の天皇賞、宝塚、秋の天皇賞、JC、有馬)全てに出走し賞金を稼ぎ、なおかつ凱旋門に出場、あわよく勝てば種牡馬の価値もあがる。当然着地検疫があるから、フランス現地滞在は最小限度に止める。結果ロンシャン競馬場でのステップレースを使わず、いきなり本番出走というセオリーを全く無視した強行スケジュール。これこそがディープ敗因の根本要因であろうと考えている。
凱旋門賞敗退後、何故140%の状態で敗れたのか納得がいかず、ディープの日本での成績を分析してみたが、やはり無敗の三冠馬といえど一叩きした方がレース内容が良かった。国内唯一の敗戦、ハーツクライの後塵を拝した有馬記念は菊花賞から2ヶ月空いていた。アドマイヤジャパンと首差の辛勝だった弥生賞も前走から2ヵ月半空いている。逆にレコードタイで駆け抜けたダービ、一週目掛かりながらも上がり3F33.3秒の足を使った菊花賞、世界レコードで激走した天皇賞はいずれも前走から一ヶ月程度でレースに臨んでいる。

「行き掛けの駄賃」程度の準備で、芝最高峰の凱旋門賞が勝てる程世界の競馬は甘くはない。結局「アブハチ取らず」になってしまった。実際日本のレースは捨てて、凱旋門賞に最善を尽くせば勝てたレースだったろう。
金子オーナーは凱旋門敗退後、ディープの引退と51億の種牡馬シンジケート設立を発表した。
ディープの気管支系の障害がどの程度かわからないが、はたしてシンジケート参加者に其のことが伝えられていたのであろうか。これまで全くマスコミに発表されてこなかったことは、恐らく調教師だけの考えとは思えない。オーナー筋の意向が働いていたと考えるのが自然だろう。

私には凱旋門賞で禁止薬物が検出されると言う「お粗末な不祥事」が発生したのは、これまでのファンへの裏切りに対する競馬の神様のディープ陣営に対する「お仕置き」に思えてならない。
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by tsune2514 | 2006-10-24 22:06 | スポーツコラム
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